
多様化する子どもへの対応不足(教育問題の例)
1)多くの方がご存じのように、「いじめの問題」は増加しており、その内容も悪質化し、巧妙化しています。
教育関係者だけの問題ではなく、家庭の問題でもあり、社会全体の課題にもなっています。
様々な対策が講じられていますが、いじめは減少していません。
2)近年、発達障害や外国籍の児童、経済的困難を抱える家庭の子どもなど、多様な背景を持つ児童生徒が増加しています。
これにより、特別支援教育や日本語指導、家庭支援などの体制整備が遅れています。
2. 教員の長時間労働と人材不足
教員の労働時間は依然として長く、メンタルヘルスの問題や人材確保の難しさが顕在化しています。
特に、ICTや生成AIなどの新技術に対応できる教員の育成などで、一層多忙になっています。
3.学習意欲の低下と知識偏重型教育
生徒の学習意欲の低下が指摘されており、知識の暗記や定型的な解答を重視する教育から、主体的・対話的で深い学びへの転換が求められています。(参考➡令和日本型学校教育における問題点と解決策)
4. キャリア教育の不足
生徒が自らの将来を主体的に考える力を育むキャリア教育が不十分であり、自己理解や職業観の形成を支援する体制の強化が必要とされています。
5. 家庭・地域の教育力の低下
家庭や地域社会における教育機能の低下が指摘されており、子どもたちの健全な成長を支えるための家庭・地域との連携が重要です。(文部科学省の参考資料➡第1章 教育の課題と今後の教育の基本的方向について)
6. 少子高齢化と教育資源の偏在
少子高齢化により学校の統廃合が進み、教育資源の地域間格差が拡大しています。特に地方における教育機会の確保が課題となっています。 参考 ➡令和の日本型学校教育 HugKum(はぐくむ)
以上の6つの問題点を把握したうえで、絵手紙授業を行うことをお勧めしています。
絵手紙は、難しい課題に取り組む具体的な方法です。
これらの課題に対して、教育現場、行政、家庭、地域社会の4分野が一体となって取り組むことが求められています。ということは、課題の解決が非常に難しいことを示しています。
教育の目標が知的活動に偏り、人間教育を軽視している傾向がないでしょうか?
いじめが増加している背景には親や社会が知的な強者を称賛したり、高学歴者を重要視する風潮にもあります。
ご指摘の通り、現代の日本の教育は知識偏重の傾向が強く、人間性の育成が軽視されているとの批判があります。
このような教育環境が、いじめの増加や子どもたちの心の問題と関連している可能性が指摘されています。
これらは、もはや、日本だけの問題ではありません。世界的な傾向です。
知識偏重、成果主義を進めざるを得ない世界的な流れの中で、文部科学省は、その道を勧めるしかないのでしょうか?
自分たちの勧めた方針を、自分たちで変えることは「自己否定」のようなもので変えることはできないでしょう。
しかし、課題解決に向けて努力する教育関係者を非難したりはしないでしょう。
具体的な支援はしなくても、大いに賛同していただけると確信しています。
当教材で取り組んでいる5つの課題とは
- 今の子どもたちのメディア環境の変化に惑わされないためには
- 絵手紙が育てる「心を見つめる力と他者への想像力」その強化方法
- デジタル表現との違いと共存のあり方
- 家庭や学校での実践・声かけのヒントをどうすればいいのか
- 「上手に描く」ではなく「自分の心で描くを大切にする」ことを教える
1.能力主義的な競争環境から離れる時をもたせよう。
日本の教育は長らく、偏差値やテストの点数などの「認知能力」を重視してきました。このような能力主義的な競争環境では、子どもたちは「できる子」「できない子」と分類され、学力の序列化が進行しています。その結果、子どもたちは自己肯定感を失い、他者との比較や競争に疲弊する傾向が見られます。
また、学力偏重の教育は、子どもたちの人格形成や社会性の育成を後回しにする傾向があります。これにより、共感力や協調性、自己制御力といった「非認知能力」の育成が十分に行われていないと指摘されています。
2.いじめの背景にある社会的要因を少なくしていきましょう。
いじめの増加には、教育環境だけでなく、社会全体の価値観も影響していると考えられます。高学歴や知的能力を重視する社会風潮は、子どもたちに過度なプレッシャーを与え、他者との比較や競争を助長します。これが、いじめや排除の行動につながる可能性があります。
また、家庭や地域社会の教育力の低下も、子どもたちの人間性の育成に影響を与えています。家庭や地域が子どもたちの社会性や共感力を育む場としての役割を果たせなくなっていることが、いじめの背景にあると指摘されています。
「ヘタでいい、ヘタがいい」という絵手紙の理念は、子どもたちの創造性や自己表現を育む上で非常に有効です。この考え方は、上手さや技術よりも「心を込めて描くこと」に重きを置き、個々の感性や想いを大切にするものです。
3.絵手紙の「ヘタでいい、ヘタがいい」の意味と教育的価値
絵手紙の創始者である小池邦夫氏は、「絵や文を上手くかく必要はありません。ヘタでも心をこめてかいたものが、人の心をとらえ感動を与えるのです」と述べています 。この理念は、子どもたちにとって以下のような教育的価値を持ちます。
- 自己肯定感の育成:上手に描くことよりも、自分の感じたことや思いを表現することを重視するため、子どもたちは自分の作品に自信を持つことができます。
- 創造性の促進:技術的な正確さよりも、自由な発想や独自の表現が評価されるため、子どもたちの創造力が育まれます。
- 共感力の向上:他者の作品を通じて、その人の思いや感じたことを理解しようとする姿勢が養われます。
4.絵手紙の教育現場での活用方法
教育現場では、絵手紙を通じて子どもたちの表現力や感性を育てる取り組みが行われています。
たとえば、総合学習の時間に絵手紙に取り組むことで、子どもたちは筆ペンや水筆を使って自由に表現し、自分の気持ちを形にする楽しさを学びます。
また、卒業を前に絵手紙を作成する活動では、普段は表に出さないような感情や感覚が表れたり、描いている中で新たな自分や表現を発見したりすることがあり、子どもたちの自己理解や自己肯定感の向上につながっています。
絵手紙は、子どもたちが自分の気持ちを素直に表現し、相手に伝えることで、自己理解や他者理解を深める貴重な教育手段です。
「ヘタでいい、ヘタがいい」という理念のもと、技術や上手さにとらわれず、心を込めて描くことの大切さを伝えることで、子どもたちの人間性を豊かに育むことができます。
子ども時代に体力、知的能力が強かった人が、後に弱くなったり、変化があります。
子供時代に蒔いたもの、友人に対する活動履歴も、後日刈り取っている人が多くおられます。
良いものをまく、悪いものをまかない、こと。
子供たちも現代社会が戦争を止められないでいること、世界に貧困者が多いことを解決できないでいることを知っています。
また、ゲーム機器で問題や障害を倒して進むことが気持ちのいいこととして学習しています。
そういう強者の論理が、人からも称賛を受け、友だちや親たちからも人気があります。
絵手紙では、絵の描写能力が問われるのではありません。強調しましょう。
へたでいい、絵を書く面で弱者の尊厳を尊重し、相手を思う想像力が相手の心に伝わるものだと思います。
教育関係者に絵手紙の教材を作るにあたり、こうした点をとりあげ、現代の教育で問題になっていることに対する、ささやかな解決策となればいいと考えています。
こうした点をやさしく提案する方法として絵手紙教育を提案します。
教育現場での具体的な活用方法のまとめ
絵手紙を通じて子どもたちの人間性を育むためには、具体的な指導方法が有効と思われます。
- 下描きなしの一発勝負ではなく下書きさせる:「下描きも練習もないぶっつけ本番」というスタイルは、失敗も生み出します。補助輪付きの自転車からスタート。
- 筆の使い方の工夫 身近にある鉛筆、マーカーを主に使うことで、簡易性向上、家庭での自由学習に役立てる。
- 評価の多様化:技術的な上手さだけでなく、表現された思いや工夫、独自性など、多角的な視点で作品を評価することが重要です。
5.社会的風潮への一石
現代社会では、高学歴や知的能力の高さが重視される傾向がありますが、絵手紙の「ヘタでいい、ヘタがいい」という理念は、そうした風潮に対するアンチテーゼとも言えます。子どもたちが他者との比較ではなく、自分自身の感じたことや思いを大切にすることで、いじめの予防や多様性の尊重にもつながるでしょう。
絵手紙を書いて送る相手の選び方、相手のことを考える想像力、絵手紙を送っても決して批判しないという信頼感を持つように励ます。それで自分の心の内を現わす勇気がわくなどの長所があります。
絵手紙を通じた「心の教育」の実践例
1.絵手紙以外の方法で「心の教育」を実践している例、山口県
現代の教育では、知識や技能の習得だけでなく、豊かな人間性や社会性の育成が求められています。絵手紙は、子どもたちが自分の思いや感謝の気持ちを表現し、他者と心を通わせる手段として有効です。実際に、山口県では「心の教育実践事例集」を通じて、子どもたちの感性や思いやりの心を育む取り組みが紹介されています。 ( 参考➡ 山口県 心の教育実践事例集 89ページのpdf)
2.絵手紙での実践事例・狛江市
狛江市では、絵手紙教室を通じて子どもたちの自己肯定感や郷土愛を育む取り組みが行われています。絵手紙創始者小池邦夫氏の活動地域です。参考資料➡67ページのpdf
令和5年度第1回狛江市教育委員会の自己点検及び評価に関する審査委員会次第
絵手紙の理念を共有してくれませんか?
「ヘタでいい、ヘタがいい」という絵手紙の理念は、技術よりも心を込めることの大切さを伝えています。この考え方を共有することで、子どもたちが自己表現に自信を持ち、他者への思いやりを育むことができます。
教材としての活用してみませんか?
絵手紙を道徳や総合的な学習の時間に取り入れることで、子どもたちが自分の気持ちを表現し、他者と共有する機会を増やすことができます。
絵手紙を通じた人間関係の構築
絵手紙は、家庭や地域社会とのつながりを深める手段としても活用されています。たとえば、学校で作成した絵手紙を地域の高齢者に届ける活動では、子どもたちが相手の喜ぶ顔を想像しながら描くことで、思いやりの心が育まれます。
さらに、絵手紙は教育現場だけでなく、病院や企業の社員研修など、さまざまな場面で活用されており、表現力や集中力、コミュニケーション力、感性、思いやりの心などを育てる効果があるとされています。(参考 一般社団法人 日本絵手紙協会)
あなたに今できること、コメントを寄せることできませんか?
絵手紙を通じて、子どもたちが自分の思いや感性を自由に表現し、それを認め合う環境を作ることは、知識偏重の教育から人間性を重視する教育への転換の一助となります。「ヘタでいい、ヘタがいい」という理念を教育現場で活用することで、子どもたちの心の成長を促すことができるでしょう。
話し言葉は情報や感情を伝えやすいものですが、後で皆で見返すような記録には残りません。
絵手紙は絵と言葉で表現されて残ります。
絵手紙を書くのは、先生や友達に見せるために、自分の気持ちを書くのでは、本当の気持ちがあらわれません。
親や周りの大人、またお友達に感謝することや、相手の気持ちを考えたり、その人の心を喜ばせることです。
絵手紙は単なる技術や表現の手段ではなく、心を通わせる深いコミュニケーションの道具として有効です。
さらに、絵手紙の理念やその教育的価値について詳しく知りたい方は、以下からお問い合わせください。